甘い香りのスパイス「ナツメグ」の効果効能とは?中毒の危険性も?
世界四大スパイスのひとつであり、ハンバーグなどの料理でも活用される「ナツメグ」は、スーパーなどで手軽に購入することができます。何気なく使っているスパイスですが、身体にも嬉しい効果をたくさんもたらしてくれます。しかし、ナツメグは摂取量を誤ってしまうと中毒症状を起こしてしまうこともあります。ナツメグの正しい知識を身につけ、生活に取り入れて有効活用しましょう。
2024年07月02日更新
記事の目次
ナツメグとは?
スーパーなどのスパイスコーナーで手軽に購入できるナツメグは、モルッカ諸島を原産とするスパイスです。
ニクズク科の常緑樹で、この樹木の種子の中身を粉末状にしたものをナツメグと呼びます。
世界四大スパイスのひとつ
ナツメグは古くから香辛料として使われていました。また、古代エジプトではミイラの防腐処理に使われていたという記録も残っています。
イタリアでは、スパイスとしてだけではなく、グローブやジュニパーなどの他の植物とナツメグの実を一緒に燃やし、薫香として使用することもありました。
中世になると、ナツメグの実をすりつぶしたものと油を混ぜた軟膏を使用していたことがわかっています。
中世~近世にかけて、スパイスは高値で売買されていましたが、ナツメグは胡椒、グローブ、シナモンと並ぶ四大スパイスとして取引されていました。
ナツメグの香りの特徴
ナツメグを英語表記すると「nutmeg」になります。
これは豆を意味するNutとムスクを意味するMegに由来し、古フランス語では「ムスクの香りがする豆」という意味の名前で呼ばれていました。
ムスクのような甘い香りが、ナツメグの特徴であることが名前からもわかります。
肉や魚の臭みを消す甘い香り
ナツメグの軽やかな甘い香りは、肉や魚の臭みを消すのに役立ちます。
ナツメグの香りは、加熱することによって強くなるため、料理に使う場合は加熱前にナツメグを加えるのが鉄則です。
生の状態では香りが弱く感じるかもしれませんが、後述する中毒症状を防ぐためにも、適量を守って使用しましょう。
ナツメグの効果・効能
ナツメグは、食材の臭みを取ってくれるだけでなく、身体にも良い効果をもたらしてくれます。
ナツメグに期待できる5つの効果を紹介します。
疲労を取り除く
ナツメグには精神的な疲労を取り除き、精神を鎮めてリラックスさせる効果があり、ストレスの軽減に役立ちます。
また、脳を適度に刺激するため、疲労感をなくし、集中力アップにも繋がります。
胃腸の調子を整える
ナツメグに含まれる「ピネン」という成分は、胃の消化を促進し、胃粘膜を保護してくれる効果が期待できます。
また、整腸効果のある「ミスチン」という成分も含まれているので、下痢の症状を緩和し、腸から余分なガスを取り除いて腹部の張りを解消してくれます。
胃の調子が悪いという人や、便秘気味の人におすすめです。
食欲を高めてくれる効果もあるため、食欲がないときはナツメグを取り入れた料理がおすすめです。
冷え性を改善する
ナツメグにはビタミンB1が含まれており、新陳代謝を活発にして血行を促進させる効果が期待できます。
血行が良くなることによって冷え性が改善されるので、特に冷えによって起こる女性ホルモンのバランスの乱れに効果的です。
体が温まると免疫力が上がるため、風邪やインフルエンザの予防にも繋がります。
また、発汗も促されるので、熱が出ているときにもナツメグを取り入れると治りが早くなるでしょう。
口臭を予防する
ナツメグには「オイノゲール」という香り成分が含まれています。
オイノゲールには消臭効果や、殺菌、抗菌効果があり、歯磨き粉やマウスウォッシュに使用される成分のひとつです。
口内の細菌を殺菌し、増殖を抑えることによって、口臭予防に繋がります。
白髪を予防する
髪の黒い色素は銅によって作られていますが、銅をはじめとするミネラルが不足すると、白髪が増える原因に繋がります。
ナツメグには黒い色素のもとになる銅が多く含まれているので、食事にナツメグをプラスすることによってミネラルを補うことができます。
白髪が気になるという人は、ぜひナツメグを取り入れてみてください。
ナツメグの危険性
ナツメグには体に嬉しい効果がたくさんありますが、過剰に摂取すると中毒症状が現れ、死に至る危険性もあります。
過剰摂取によって中毒症状が現れる
ナツメグは薬にも使われている有効成分が多く含まれていますが、過剰に摂取すると逆に身体に毒になってしまいます。
特に、生のナツメグには抗うつ剤に含まれる成分や、抗精神作用のある成分も含まれているため、幻覚症状やパニック症状が引き起こされる可能性があります。
幻覚や多幸感を目的にドラッグの代わりに使用されることもありますが、ナツメグの過剰摂取で緊急搬送されたり、死亡に至ってしまった例もあります。
以下に、どのような中毒症状が現れるのか紹介します。
<循環器系>
頻脈、胸部圧痛、低血圧、ショック症状
<呼吸器系>
速く不規則な呼吸
<神経系>
長時間のめまいと興奮状態、不安、頭痛、幻覚、多幸感、四肢脱力感
<その他>
口腔内乾燥、嘔吐、縮瞳
ナツメグの致死量
公益財団法人日本中毒情報センターによると、ナツメグによって中毒症状が引き起こされる量は、5g~15gと言われています。最小致死量はナツメグ2個分です。
成人でも、5gで中毒症状があらわれる場合があるため、それ以下の摂取を徹底しましょう。なお、スーパーなどで売られているSBの瓶入りナツメグの内容量は8.3gです。
また、生のナツメグには子宮収縮作用があり、堕胎薬として使われていたこともあるため、妊婦の方は特に使用に注意が必要です。必ず加熱調理して口にするようにしましょう。
●参考:公益財団法人日本中毒情報センター
ナツメグの効果的な使い方
使用量を間違えなければ、体に良い効果をもたらしてくれるスパイス「ナツメグ」。
その効果的な使い方を紹介します。
挽肉の臭みを消す
ナツメグと言えばハンバーグに入れるスパイスというイメージのとおり、挽肉のニオイを消すのに効果的なスパイスです。
ハンバーグに使う際は、挽肉100gに対して0.15~0.2gを目安にしましょう。
他の調味料を加える前にナツメグを加えることによって、より肉の臭みを抑えることができます。
生のナツメグは香りが弱いですが、入れすぎると肉の旨味を消してしまうことになるため、適量を心がけましょう。
ハンバーグなどの挽肉料理だけでなく、カレーに加えても肉の臭みを抑えてくれます。
野菜の青臭さを消す
ナツメグには、野菜の青臭さを消して甘みを引き出してくれる効果もあります。
ヨーロッパでは、野菜スープやポテトサラダにナツメグを使用し、野菜本来の旨味を引き出す隠し味として役立っています。
洋食だけでなく、いつもの野菜炒めにナツメグを一振りするだけで、いつもとちょっと違った味わいを楽しむことができるでしょう。
乳製品の臭みを消す
ナツメグは乳製品独特の生臭さを消してくれる効果もあります。
クリームシチューやホワイトソースを作る際、仕上げにナツメグを加えると臭みが消え、ナツメグ特有の甘い香りが風味を引き立てます。
また、ホットミルクにナツメグを少し加えて寝る前に飲むと、牛乳に含まれるトリプトファンと、ナツメグの精神リラックス効果で安眠をサポートしてくれます。
ナツメグの効果についてよくある質問
古くから人々に愛されてきたナツメグですが、どういう効果があったり、使い方を知らなかったりと思うことは様々ですよね!
なので、ここではナツメグの気になるアレコレについて答えていきます!ぜひ参考にしてみて下さい♩
ナツメグの注意点は?
ナツメグは香辛料として様々な料理で使用されています。
ただ一度に大量に摂取すると、おう吐や下痢、幻覚などの中毒症状を起こす事例が報告されていいるので注意しましょう!
1~3個または、5~15gで精神神経症状が出るという情報もあります。
ナツメグは肉にどんな効果があるのですか?
ナツメグには肉の臭みを和らげる役割があります。加熱することで香りが増すので、火を通す前の段階で加えるのがポイントです。
ハンバーグなどのひき肉を使った料理の場合は、ひき肉と調味料を合わせるときに一緒に加えましょう。
しかし、量が多すぎると香りが強く出てしまうので、注意してくださいね♩
ナツメグは何歳から使えますか?
料理の香り付けや、味のアクセントとして使われるナツメグは、何歳から使えるといった規制があるわけではありません。
ただし、ナツメグは大人だと大量摂取(5〜15g程度)で中毒症状を引き起こすことがある刺激性の強いスパイスです。
子どもへの使用は特に注意をしましょう。
体重10kgの子供の場合、中毒となる量は1〜3g程度と推定されています。
一般的なハンバーグのレシピだと、ナツメグの使用量は極めて少量(1個あたり0.1〜0.2g程度)なので、中毒量には達しないでしょう。
離乳後~2歳台の子どもは味覚の形成時期で、いろいろな味を経験することで味覚が少しずつ発達していきます。
ベースは薄味で素材の味を生かしながら、少量のスパイスで味のバリエーションを増やせば、子供の食経験を豊かにしてくれます♩
使用量に気をつけてナツメグを活用しよう
古くから薬としても人々の生活に取り入れられてきたナツメグは、適正な使用量を守れば、体に良い効果をもたらしてくれる優れたスパイスです。
スーパーで簡単に入手することができますし、ハンバーグを作るのに買ったけれど他に使い方がわからないという人も、野菜料理や乳製品と組み合わせて、ぜひナツメグを毎日の生活に取り入れてみてください。
☆アロマセラピスト菊池より一言☆
古代より、治療や魔除け、料理など色んな生活シーンで利用されていたナツメグ。実はアロマテラピーでもこの精油が使われています。イメージ通り、身体を温めてくれたり強壮してくれる働きがあります。この甘くてスパイシーな香りにオレンジ精油を合わせてお部屋に漂わせると心地よく幸せな気分にさせてくれますよ。精油も刺激が強いので、多量・長期の使用はしないように気をつけましょう。
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。症状がひどい場合は医療機関を受診することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。